育児ノイローゼを理解してもらえず
26歳で結婚した緑山さんは、その1年後に長男を出産。産後半年で夫の転勤で引っ越し、慣れない土地での子育てに追い詰められていったといいます。
「それまで小さい子と触れ合う機会もなく、子供との接し方がわからず戸惑いました。泣き出しただけでパニックになり、つい感情的になることも……。
主人は仕事が忙しくて泊まりで出張に行くことも多く、帰ってきた主人に『目が釣り上がってるよ』と叱られることもありました。
今思うと、当時の私は精神的に幼くて自分のことで精一杯だったのかもしれません。
主人は育児に協力的で、私ができなかった家事を片づけてくれたのに、『何でこのくらいできないの』と責められているように感じていました。
長男が1歳半のころに次男を出産してついにキャパシティオーバーになり、育児ノイローゼからパニック障害を発症してしまったのです。
主人はそんな私を受け止めてくれましたが、元々“タフ”な性格なので、メンタルの弱さから体調を崩すということが理解できなかったようです。
主人は『妻に言っても無駄だ』とあきらめ、私も『夫にはわかってもらえない』と思い、話し合いを避けるようになってしまいました」
被害者意識を反省し──
転機が訪れたのは、長男が小学校5年生のころ。
「長男が学校でいじめに遭い……。私は『環境が悪いなら行かなくていい』と言ったのですが、主人は『負けちゃだめだ。加害者が学校に残って被害者がやめることはない』と励ましたのです。
いじめは無事に解決することができ、私もそれを機に『逃げていてはいけない』と、主人から前向きな考え方を学ぼうと思うようになりました。
もうひとつの転機は、友人の誘いで幸福の科学のボランティアに参加したこと。
精舎(幸福の科学の研修・礼拝施設)の中で聖なるボランティアをするうちに心が癒やされ、周りに感謝できるようになりました。
そしていつしか『私はこんなに大変なのに』と被害者意識にとらわれていた自分に気づいたのです。
『夫の気持ちをわかっていなかった』──そう反省すると、次第にパニック障害も治っていきました。主人も『頑張っているね』『ありがとう』と言ってくれるようになったのです」
天上界で約束して夫婦に
現在の緑山さんが産後を振り返って思うことは?
「男女ではものの見方も考え方も違いますから、『違う生き物だ』と考えた方がいいかもしれません(笑)。
違う部分を悪く見ると相手を理解できなくなりますが、違うからこそ、男女は“補い合える”のだと思います。
産後はつらく感じた夫のタフさも、『家族を守るための強さだった。私たち天上界で夫婦になる約束をしてきたんだ』と考えられるようになりました。
いい意味で譲歩しながら歩み寄れるようになったのは、これらの経験のおかげだと思っています」
(※プライバシー保護のため、文中の名前は全て仮名にしています。)
月刊「アー・ユー・ハッピー?」2017年10月号より転載・編集